投資信託のシミュレーションの画像は見たことがある人、多いと思います。

これは年間120万円積み立てし、年利3%で複利効果をかけた場合のグラフです。(エクセル自作で簡易的に作成しています)
しかし、実際に運用してみるとわかるのですが、シミュレーション通りには基本的になりません。
今回は投資信託のシミュレーションの誤解と積み立てを行う上でのマインドについて解説します。
投資信託のシミュレーションについての誤解
投資信託を一定額定期的に積み立てると聞けば、上記のようなグラフがテレビ等でもよく放送されていました。
「積み立てて長期で運用するだけで20年後には○○万円!」というワードが、新NISA制度開始当初は良くワイドショーなどで報じられていました。
とはいえ、大半の方が実際に運用してみるとこのようにはいかないということが実感できると思います。
「NISA損切り」なるワードもよく出てくるようになっています。
何故投資信託のシミュレーション通りにはいかないと思いますか。ここで、シミュレーションからくる3つの誤解について説明します。
常に右肩上がりだと思っている
上記のようなグラフを見たときに、投資をすれば資産が右肩上がりに上昇していくんだという錯覚が生まれやすくなります。
また人間の特性である認知バイアスの都合上、上がるものはそのまま上がり続けると思ってしまうこともたびたびあります。
しかし、投資をしている人は理解していると思いますが、投資信託でも時価総額が上下しながら資産を形成しているという事実があります。
時には大幅な下落があるため、資産の増え方はかなりジグザクした動きになります。
そのため、期待通りに上がらず下がってしまったところで退場してしまうといった事態が起こりやすいのです。
資金を投じ続けることの負担
グラフを見たときに、実際に月何万円入れているかにちゃんと着目していますか。
複利効果を活かす場合においても、結局ものをいうのは資金力です。
月1万円くらいであった場合は、資産額を増やそうにも年利を考えれば2,30万円程度しか増えなかったということもざらにあります。
逆に月10万円入れようにも、生活を圧迫してしまうと冷静な判断がしづらくなってしまうため、投資で成功は難しいでしょう。
金額の負担のバランスがとりにくいのも、誤解の一つといえます。
時間が思った以上にかかる
最後は、実際にかかる時間です。
投資を始めて感じるのは、望んだ資産額になるのには結構時間がかかるということです。
もちろん長期的な運用をするという視点は大事なのですが、積み立てる時間が長いと意思が揺らぎやすいという点は注意しなくてはなりません。
特に年単位で考えると、「ここまで待たなくてはならないのか…」と待ち疲れてしまい、資産運用をあきらめてしまうパターンもあります。
時間が思った以上にかかるのは、体感しないと分からない部分でもありますが、長期思考を忘れないようにしたいところです。
シミュレーションを見るうえでのポイント
ここでは、シミュレーションを見るうえでのポイントを記載します。
ポイント | 内容 |
---|---|
前提条件 | 利回り、投資期間、積立金額、手数料などの仮定が現実と合っていない場合、結果は大きく変わります。 |
過去の実績 | シミュレーションが過去のデータを使っている場合、「過去は未来を保証しない」という前提が重要です。 |
市場の変動 | 株式・債券・為替などの相場変動は予測不能なため、シミュレーションとの乖離は普通に起こり得ます。 |
再投資の前提 | 分配金の再投資など、現実では実行が難しいケースが前提になっていることがあります。 |
手数料や税金 | シミュレーションに反映されていない場合、実際の利益は大きく変わることがあります。 |
シミュレーションは無価値ではない
ここまでシミュレーションの誤解について紹介しましたが、シミュレーションが無価値だというわけではありません。
投資方針を決めたり、おおよその資産額を算出するのにあたってはとても便利な指標となります。
ただ、投資をする個人において誤解を理解しておかないと、投資を途中でやめてしまうことにつながってしまうので、シミュレーションの誤解を紹介しました。
3つの誤解を理解していれば、投資の方針がぶれにくくなってきますので、ぜひ覚えておいてください。
積み立てを行う上でのマインド
ここでは、積み立て投資を行う上でのマインドについて3つ紹介します。
認知バイアスを理解する
まずは、上がり続ける/下がり続けるといった直線バイアスや、投じた資金を取り返そうとするコンコルド効果等、人が持つ認知バイアスを理解しましょう。
狼狽売りや調子に乗った買い増しは、こういった認知バイアスによるものが多いです。
バイアスを理解して冷静な判断を心がけましょう。
時間はかかるものと理解する
積み立て投資は複利効果を時間をかけて活かす手法です。本来は資金力が必要なのを、時間によって上げていく手法なので、否応なしに時間がかかるものです。
そのため時間は絶対にかかるものだと理解しておきましょう。途中で売却してしまうと、せっかくの複利効果が活かせないため、手を付けないように注意しましょう。
資金は無理のない範囲で
最後に、積み立ては個人の無理のない範囲で投資しましょう。
生活資金を投じてしまうと、取り戻そうとするコンコルド効果も働き、無茶な投資をしたりすぐ売却してしまったりと、積み立てとして意味を成さなくなってしまいます。
無理のない範囲で積み立てを行い、余裕をもって積み立てを行っていきましょう。
まとめ|シミュレーションの誤解を理解しておこう
今回は投資信託のシミュレーションの誤解と積み立て投資のマインドについて紹介いたしました。
シミュレーションはあらゆるメディアで使用されていますが、実際にグラフ通りにはならないことを理解しておけば、積み立てをしていてもうろたえることはないかと思います。
誤解をあらかじめ自分の中に取り入れて置き、よりよい積み立てライフを送ってください!
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