【表付き】新NISAはどんな制度?そもそもNISAって何?分かりやすく解説

投資制度

ニュースとかで「NISAが新しい制度として始まります」とは聞くけど、

どんな制度なのか分からない…。

そもそもNISAって何だ?

 ニュースや雑誌、インターネットの広告などでも見かけるNISA。しかし、実際の制度として知っている人は多くないと思います。

 このブログで最初に説明したい内容として、NISAとはどのような制度なのか、そして新NISAの変更点について紹介していきます。

そもそもNISAとは

 そもそもNISAとは、Nippon Individual Savings Account の頭文字をとって「NISA」と呼ばれています。頭に「Nippon」とあるように、日本向けに作られた投資制度ということになります。

 では、「Individual Savings Account」はどう訳されるでしょうか。これはイギリスで始まった制度で、「個人貯蓄口座」の意味となります。つまり、元々は貯蓄を促すための制度から、日本向けにアレンジして、投資を促して貯蓄を増やす制度として始められました。

元々は投資じゃなくて、貯蓄を促すものだったのね!

 現在NISA制度は、「少額投資非課税制度」として活用されています。制度の概要は、「一定額以下の投資で得られた利益について、これを非課税にします」という制度です。

 本来投資の利益には、2023年現在で20.315%の税金がかかります。例えば、年間で利益を20万円出せたとすると、税金として40,630円を持っていかれます。しかし、NISA制度を活用して利益を出した場合は、この税金がかからずに20万円そのまま手に入れることができます。

株式や投資信託を売買するには証券口座が必要ですが、この証券口座を開く時に一般口座と特定口座を選択することができます。特定口座(源泉徴収あり)を選ぶことで、利益が出た時に発生する税金を、証券会社が利益から天引きして納めてくれます。これにより投資分の確定申告をしなくてよいため、手続きが楽になります。

現在NISA口座は、証券口座を開設する時に一緒に開設することができます。

「特定(源泉徴収あり)+NISA口座」で開設することで、税金納付の心配が減りますので、開設する場合はこのセットで開設するとよいでしょう。

 2014年から日本で始まり、2018年には派生である「つみたてNISA」も始まりました。2023年までは通常のNISAとつみたてNISAは両立できませんでしたが、2024年から大きく変わることになります。

新NISAの概要

 それでは、新NISAとはどのような制度なのか解説していきます。

 といっても、ベースとなる制度は現行のものとさほど変わりません。少額投資非課税制度というベースはそのままに、投資可能額が増額されたり、融通が利きやすくなったりと良い制度として改善されてきています。

 大きな変更点は以下の3つです。

  1. 成長投資枠とつみたて投資枠の両立
  2. 生涯投資額の設定と投資可能期間の永年化
  3. 使用した投資額の枠の復帰

成長投資枠とつみたて投資枠の両立

 まず成長投資枠とつみたて投資枠の両立について、前述のとおり、2023年までのNISAは、一般NISAとつみたてNISAに分けられており、個人でどちらか一方しか利用できませんでした。

 一般NISAは2014年から開始しましたが、当時は年間非課税枠は100万円(2016年から120万円)で、それが5年間という制限があるものでした。そしてつみたてNISAは2018年から開始しましたが、こちらは一部の投資信託のみである上、年間40万円を20年かけてつみたてるというコンセプトであったため、こちらも細かい制限が多いものでした。

 しかし、2024年からの新NISAは、成長投資枠とつみたて投資枠を設け、個人でも一般NISAとつみたてNISAが使えるようになりました。これにより、株式は成長投資枠、投資信託はつみたて投資枠を使うといった使い分けが可能となり、融通が利きやすくなります。

投資対象は成長投資枠、つみたて投資枠それぞれ決まっていますが、両方使えることで幅広く投資商品を選べます

後述しますが、それぞれ年間の限度額は決まっているので、その枠内での利益が非課税になることはご留意ください。

生涯投資額の設定と投資可能期間の永年化

 次に、生涯投資枠の設定と投資可能期間の永年化ですが、前述のとおり、いままでのNISAは一般NISAは5年、つみたてNISAは20年という縛りがありました。特に一般NISAは期間が短く、その年ごとに投資可能額が設定されていたため、使いきれなかった分は、繰り越せずなくなってしまっていました。

 しかし、これを永年化することで、資金があるときにいつでもNISAを活用できるようになりました。ただし、年ごとに限度額は決まっているものの、毎年資金を入れられる人と、そうでない人と差をつけてはいけないということで、新NISAは生涯投資額を設けました。

 これは、一人が持てるNISA口座の非課税限度額を1,800万円までにするというもので、これ以上の投資は課税口座で行うことになります。この限度額を決めることで、少額投資非課税制度として機能しています。

なお、NISA口座は一人一つしか持てません。複数持つことは制度の違反になりますので、多重申し込みをしないように注意しましょう。

生涯投資額は決まっていますが、次項③の「枠の復帰」により、新NISAを最大限活用するにはある程度売買を行う必要はあります。

しかし、投資初心者が売買を繰り返すのは難しいので、「限度額はあるけど気にしない」程度に考えておきましょう。

使用した投資額の枠の復帰

 最後は、使用した投資額の枠の復帰です。現行のNISA制度では、一度株式や投資信託を買い、それを売った場合の枠の復帰はありませんでした。使い捨て、という概念で考えると分かりやすいかもしれません。

 例えば一般NISAで3月に50万円の株を買い、6月に売りました。現行のNISAだと、枠は120万円であるため、その後の6か月は70万円の枠しか使うことはできなくなります。これたと、非課税枠を多く運用したくても、なかなか売買をためらってしまいます。

 しかし新NISAでは、売った後にその使っていた枠が復帰します。新NISAの成長投資枠の年間限度額は240万円となりますが、50万円の株を買って60万円で売った場合、利益の10万円はそのまま非課税で得られ、かつ使っていた50万円の枠は復帰するため、株の売買が非常に行いやすくなりました。

ただし、あくまでも復帰するのは枠であり、年間や生涯の限度額は変わらないため、一度に多額の売買を行うのには向いていません。

投資可能額の枠が復帰することは、特に株の売買にはありがたい変更点となります。

投資信託はつみたてが結果を出しやすい都合上、こちらは恩恵は多くありませんが、頭に留めとくとよいでしょう。

新NISAと現行NISAの比較

 それでは新NISAと現行NISAの比較ですが、こちらは表として見た方が分かりやすいので、図表を作成しました。

 新NISAの概要でも説明しましたが、年間投資額が2~3倍まで増えていることや、永年化、復帰など、大きく改善されているものが多いです。

 なお、現行のNISA口座を持っている人で、株式や投資信託を持ち越した場合は、新NISAの枠には含まれず、売却するまでは保持されますので、慌てて売却する必要はありません。

NISAの活用方法

 ここでは、新NISAの活用方法についてご紹介します。

つみたてのみ行う

 まずは、家庭を持っていたり、高齢の方などで、そもそもハイリスクな投資を行えない人の場合です。

 この場合は、月3,000円~20,000円の範囲で、低リスクな投資信託(インデックスファンド)につみたて投資する方法がベストです。この方法は、期待リターンは年2~3%と多くはありませんが、損をする確率も高くはないため、比較的安定して資産運用ができます。

 この方法をとる場合は、銀行引き落としサービスなどを活用して、できるだけ値動きを確認をしないようにしましょう。短期的な上げ下げを見ていると、(特に下げている時は)自分で手を入れて調整したくなってしまうため、いっそのことつみたてを忘れているレベルでほったらかしにしましょう。

 2、3か月おきに見るなど、長期的な見方を心がけて、どっしりと構えて行うことをおすすめします。

株式を売買する

 ある程度知識がある方や、余裕資金があり多少投資に回せるという人は、株式の売買に挑戦してもいいと思います。

 株式の売買の原則は、「いかに安く買っていかに高く売るか」です。口で言うのは簡単ですが、実際に売買を始めると、そう簡単にはいかないものです。

 この方法の場合は、企業の分析を前提とした、配当金を狙う中長期的なやり方を学ぶと、じきに買うタイミングや売るタイミングが感覚として理解できてきます。なお、いわゆるデイトレードは、NISAとは相性が悪いため、NISA口座では行わないようにしましょう。

成長投資枠とつみたて投資枠の併用

 余裕資金がある程度多い場合は、株式を少額運用しつつ、つみたても行うという方法が良いと思われます。

 というのも、NISA口座のように利益が非課税になる制度は、性質上長期的な運用と相性が良く、分散投資を行うことで、リスクを減らしながらリターンを狙いに行けるメリットがあります。

 そのため、株式と投資信託にNISA口座で分散投資を行うことで、利益を非課税にしながら長期的にプラスになるように動けるということになります。

 この方法は、投資先をしっかり選べるようになるまでは難しいかもしれませんが、慣れてきた段階で挑戦してみてもいいかもしれません。

NISAの注意点

 ここまでNISAの長所について紹介してきましたが、注意点が2つあります。

リスクはなくなるわけではない

 1つ目は、NISA口座ではあってもリスクはなくならないことです。

 NISAはあくまでも少額投資非課税制度であり、投資のリスクを減らすものではありません。そもそも投資である以上、絶対的なリスク=「値下がりリスク」は、投資商品を売買する時は必ず発生します。

 もちろん、投資の方法によってはリスクを少なくすることもできますが、それでもゼロにはなりません。「NISA口座だから絶対安心!」とはならないことは理解しておきましょう。

損益通算できない

 2つ目は少し難しい話ですが、NISA口座で損を出したとしても、他の金融所得との相殺はできません。

 例えば実物の金で利益を出していて、株式で損を出した場合、損益通算することで、金の利益を相殺し、税金額を少なくすることができます。しかしNISA口座の場合は、そもそも非課税として計算しているため、他の金融所得とは損益通算できません。

 NISA口座のみ運用する場合はあまり気にはなりませんが、他の金融所得がある場合は注意しましょう。

終わりに

 今回は新NISAについて紹介いたしました。2024年1月より始まる新NISAが、様々な改善をもって実施される制度であることがご理解いただけたかと思います。

 投資家の新規参入が多くなる時期は、株価の値動きが激しくなりやすい傾向にあるため、まずは投資信託のつみたてを行ってみるのはいかがでしょうか。

コメント

  1. Keep on writing, great job!